【事例】高尾山の隠れ家蕎麦「杜々」|Instagram×写真ブランディングで行列店へ成長した7年間の記録

はじめに

高尾山の山裾にひっそりと佇む蕎麦店「杜々(とと)」。

林の中に溶け込むような静かな佇まいで、隠れ家として地元のファンから愛されていましたが、2017年当時の課題は明確でした。「知る人ぞ知る」では、売上のベースが上がらない。シーズン中の繁閑の波が大きく、平日は客席が埋まらない日も続いていました。

テラデザインへのご依頼は「売上のベースを、もっと安定させたい」という一言から始まりました。

2017年当時、杜々の看板である手打ち蕎麦の評判は、実際に来店したお客様の間では確かなものでした。しかし、口コミだけに頼った集客には限界があります。高尾山という好立地にありながら、その魅力が「知っている人だけの世界」で完結してしまっていたのです。

テラデザインではこの案件を、単なる「SNS運用代行」ではなく、「お店の世界観を可視化し、来店理由を継続的に作り続ける仕組みづくり」と位置づけてスタートしました。以下は、実際に約7年間にわたって積み重ねてきた取り組みの記録です。


依頼前の状況と課題

項目状況
集客手段口コミと紹介のみ
SNS未活用
ウェブサイトあるが検索流入なし
写真・ビジュアル統一感なし
売上繁忙期に偏り、平日・雨天が課題
GBP(Googleマップ)情報が不十分

「隠れ家」という強みが、同時に「見つけられない」という弱点にもなっていました。高尾山という観光地に立地しながら、情報発信が追いついていなかった状態です。

特に深刻だったのは、集客チャネルが「口コミ」の一本足打法になっていた点です。新規のお客様の多くが「たまたま通りかかった」「友人に連れて来てもらった」という経路で来店しており、お店側から能動的に情報を届ける手段がありませんでした。これは飲食店に限らず、中小店舗全般に共通しやすい課題ではないでしょうか。

一般的な目安として、口コミ中心の集客構造では、繁忙期と閑散期の売上差が2倍以上開くケースも珍しくないといわれています。杜々についても同様の傾向が見られ、「行けば入れる店」というイメージが定着してしまうと、平日の来店動機がさらに弱まるという悪循環が生まれていました。


テラデザインが取り組んだこと

1. 写真ブランディング

まず着手したのは「見た目の統一」です。蕎麦の手打ち工程、器の質感、店内の木漏れ日、四季折々の庭の風景——。それぞれを丁寧に撮影し、「杜々らしい世界観」を写真で定義しました。

食べ物の写真ではなく、「ここに来たくなる場所の写真」を蓄積することが、SNSブランディングの起点となりました。

撮影にあたっては、光の入り方が変わる時間帯を複数回訪れ、朝の澄んだ空気・昼の木漏れ日・夕方の柔らかな陰影まで撮り分けました。器や箸置きといった小さな道具も含めて「杜々らしさ」を構成する要素をリスト化し、撮影ガイドラインとして整理したことで、その後の投稿にも一貫性を持たせることができました。

2. Instagramの運用設計と継続発信

統一された写真を軸に、Instagramの運用を本格化。投稿スタイル・ハッシュタグ設計・更新頻度を整備し、フォロワーを着実に積み上げました。

単なる料理写真の投稿ではなく、「杜々に行きたい人が増える発信」を意識。高尾山と蕎麦の親和性、隠れ家の非日常感を言語化しながら発信を続けました。

投稿は週2〜3回のペースを基本とし、無理なく継続できる頻度に設定しました。ハッシュタグは「#高尾山蕎麦」のような地域×業種の組み合わせに加え、「#隠れ家蕎麦」「#高尾山ランチ」など来店動機に直結するキーワードを組み合わせています。投稿ごとの反応を月次で振り返り、反応の良かった構図・時間帯を次の撮影・投稿計画に反映するサイクルを回し続けました。

3. 季節メニューの開発とキャンペーン設計

売上の「凹み」を埋めるために、季節ごとの特別メニューを共同で企画しました。

「この季節に杜々に行きたい」という理由を、一年を通じて作り続けました。

メニュー開発は、味だけでなく「写真映え」と「限定感」もあわせて設計しました。期間限定であることを明示することで、「今行かないと食べられない」という緊急性を演出し、SNS上での拡散にもつながりやすくなると考えられます。

4. 空き時間帯・天候連動キャンペーン

シーズン中でも混みにくい平日昼や、来客が減りやすい雨天日にターゲットを絞ったキャンペーンをInstagramで展開しました。

売上予測データを参照しながら、「いつ・どんな発信をするか」を計画的に設計しました。

こうした発信は、天気予報アプリと連動させて前日〜当日の朝に配信するなど、タイミングを重視しました。「今日は空いています」という受け身の告知ではなく、「雨だからこそ楽しめる魅力」を先に提示することで、悪天候をマイナス要素からプラスの来店理由へと転換しています。

5. お蕎麦打ち動画の制作

手打ちそばの工程を短編動画にまとめ、Instagram Reels・ストーリーズで公開。「職人の技」「本物の手打ち」というブランド価値を映像で伝えることで、フォロワーの関心と信頼度を高めました。

動画は30秒前後の短尺にまとめ、蕎麦を打つ手元・湯気・盛り付けの瞬間など、視覚的なインパクトのある場面を中心に構成しました。長尺の説明的な動画よりも、短く印象に残る映像の方が保存・シェアされやすい傾向があります。

6. メディアへのPRアプローチ

蓄積されたビジュアルとストーリーを活用し、グルメ系メディアや地域情報サイトへのPRアプローチを実施。複数のメディアに掲載されたことで、新規層へのリーチが大幅に拡大しました。

PRアプローチの際は、蓄積してきた写真・動画・ストーリーをそのまま「取材しやすい素材」として提供できたことが、掲載の後押しになったと考えられます。メディア側にとっても、素材が揃っている店舗は取材のハードルが下がる傾向があります。

7. Google ビジネスプロフィール(GBP)の最適化

Googleマップでの表示改善も並行して実施。店舗情報の整備・写真の充実・口コミへの返信対応により、「高尾山 蕎麦」での検索露出を強化しました。

加えて、口コミへの返信は「良い評価」「改善要望を含む評価」の両方に丁寧に対応する方針を徹底しました。返信の積み重ねは、閲覧者に対して「きちんと向き合っているお店」という印象を与え、来店前の安心材料になると考えられます。


結果

施策を積み重ねた結果、杜々の集客は段階的に安定・成長していきました。

シーズン中(春・秋の行楽期)

→ 土日はオープン前から行列ができる状態に

平日・オフシーズン

→ 以前は閑散としていた時間帯にも、コンスタントにお客様が入るように

年間売上

→ 過去最高売上を達成し、現在もそれを継続・更新中

「売上の波を小さくしたい」というご依頼に対し、繁忙期の底上げだけでなく、閑散期の底上げにも成功。結果として年間を通じた売上ベースが安定しました。

数字の面でも変化がありました。Instagramのフォロワー数は運用開始からの7年間で着実に増加し、投稿を見て来店したという声が現場スタッフにも日常的に届くようになったとのことです。一般的な目安として、地域密着型の飲食店がSNSを軸にした情報発信を継続した場合、1〜2年程度でフォロワーの増加と来店動機の変化が実感しやすくなるといわれています。杜々の場合も、最初の1年は基盤づくりの期間、2年目以降から効果が積み上がっていく形でした。


この事例から学べること

杜々の事例には、中小店舗のWeb集客において重要な要素が凝縮されています。

① 「見せ方」を整えることが先

どれだけ投稿を増やしても、写真の世界観が統一されていなければフォロワーは増えません。まず「ブランドの視覚言語」を定義することが起点です。

② 数字で「凹み」を把握し、先手を打つ

雨の日・平日・オフシーズンがいつ来るかはわかっています。その「凹み」に先回りしてキャンペーンを打つことで、売上の谷を埋めることができます。

③ SNSは「告知」ではなく「理由づくり」

「今日は空いてます」「新メニューです」だけでは動きません。「ここに行きたい」「この季節に行かなければ」という体験の理由を作り続けることが、長期的なファン化につながります。

④ 短期の成果を求めすぎない

杜々の成長は1〜2ヶ月の施策で生まれたものではなく、7年間という時間の中で積み重ねられてきたものです。写真の蓄積、投稿の継続、季節ごとの企画——どれも一朝一夕には育ちません。中小店舗のSNS集客においては、短期的な数字の増減に一喜一憂せず、半年・1年単位で振り返る視点が必要ではないでしょうか。

これから同様の取り組みを始める方に向けて、着手前に確認しておきたいポイントを整理しました。


テラデザインへのご相談

「うちのお店もこういう風にしたい」と思われた方、まずはLINEでお気軽にご相談ください。業種・規模・予算に合わせた集客戦略をご提案します。

飲食店に限らず、美容室・整体院・宿泊施設など、「良いものを提供しているのに知られていない」という悩みを抱える中小店舗は少なくありません。杜々の事例のように、写真・SNS・季節企画・GBPを組み合わせた継続的な取り組みは、業種を問わず応用できると考えられます。

初回相談は無料です。

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