実は誰もできていない!競合サイトの「いいとこどり」で勝率を上げるWeb戦略

Webサイトのリニューアルや新規開設を検討する際、多くの経営者様が最初に行うのが「競合他社のサイトを見て回る」という作業ではないでしょうか。ですが、見た目が良いと感じたサイトをそのまま真似るだけでは、他社との違いが生まれず、結果として「どこも同じに見えるサイト」になってしまうケースが少なくありません。本記事では、複数の競合サイトから優れた要素だけを抽出し、自社独自の形に組み合わせる「いいとこどり」の具体的な手順と、実際の中小企業での改善事例をご紹介します。

特に近年は、Googleなどの検索エンジンだけでなく、AIが検索結果の代わりに情報をまとめて提示する場面が増えています。他社と似た内容のサイトは、AIによる要約でも埋もれやすくなるため、「いいとこどり」による差別化は、これまで以上に重要性を増していると考えられます。

結論:「複数社の良点統合」で独自ポジション

競合サイトの「いいとこどり」とは、1社のデザインをそのまま模倣することではなく、業界内の複数社が持つ優れた要素を洗い出し、自社の強みに合わせて再構成することを指します。デザインの見た目だけでなく、情報設計・訴求文言・問い合わせ導線・信頼性の見せ方など、複数の観点から良い部分を拾い上げる点がポイントです。

弊社がこの手法でご支援した案件では、月あたりのWeb経由問い合わせ件数が施策前の3倍程度まで伸びた事例が複数あります。業種の相場観として、比較検討の多いサービス業では、競合との差別化ポイントが明確になるだけで問い合わせ率が1.5〜3倍程度変化することも珍しくないと考えられます。

一方で注意したいのは、「良さそうな1社を丸ごと参考にする」というやり方です。デザインの雰囲気や文章の言い回しまで似せてしまうと、検索エンジンやユーザーから見て「二番煎じ」の印象を与えかねません。業種によっては競合と酷似したコンテンツが著作権上の問題に発展する可能性もあるため、あくまで「要素の抽出」にとどめ、表現は自社の言葉で書き直すことが基本と考えられます。

いいとこどり実装3ステップ

「いいとこどり」を場当たり的な作業にしないためには、次の3つのステップで進めることが有効と考えられます。感覚的に良いと感じた部分をそのまま真似るのではなく、比較表に落とし込んでから統合する点が重要です。

1. 競合5社×5軸の比較表

まず、同一エリア・同業種の競合サイトを5社ほど選び、次の5つの軸で比較表を作成します。

比較表は、Excelやスプレッドシートに競合社名を横軸、5つの軸を縦軸にして一覧化すると、どの会社がどの軸で優れているかが一目で把握できます。目視だけで判断せず、必ず表に書き出すことが、思い込みによる偏った判断を避けるコツです。

比較表のイメージは、たとえば次のような形になります。◎=優れている、○=普通、△=弱い、といった簡易評価をつけるだけでも、どの会社がどの軸で抜きん出ているかが視覚的にわかりやすくなります。

競合SEOコンテンツCTA信頼性SNS
A社
B社
C社

この例では、CTAはA社、信頼性はB社、SEOはC社が最も優れているという評価になります。次のステップでは、こうして洗い出した「軸ごとの最優秀要素」を実際に抽出していきます。

2. 各軸でTOP1要素を抽出

比較表が完成したら、各軸において最も優れていると感じた要素を1つずつ選びます。例えば「CTAはA社の『まずは無料相談』という柔らかい文言が問い合わせのハードルを下げている」「信頼性はB社の施工事例が写真点数・ビフォーアフターとも充実している」といった形で、軸ごとに一番良い要素をピックアップします。

同様に、SEOでは「C社がブログを週2回更新し、地域名とサービス名を組み合わせたキーワードで上位表示を獲得している」、SNSでは「D社がInstagramで施工中の様子を毎週投稿し、サイトへの誘導リンクを常に更新している」といった具合に、5つすべての軸で最優秀要素を書き出します。

このとき注意したいのは、1社だけを見て「この会社が総合的に一番良いから真似よう」と判断しないことです。軸ごとに評価を分けることで、特定の1社の劣化コピーになることを避けられます。

3. 自社仕様に統合

抽出した5つの要素を、自社の強み・ブランドトーン・ターゲット層に合わせて調整しながら組み合わせます。5社それぞれの良い部分を集めても、それを自社の言葉遣いやカラー、写真のトーンに落とし込むことで、結果的に他社には存在しない独自の組み合わせが完成します。

→ どの1社とも同じにならない「独自の組合せ=オリジナル」が、このステップのゴールです。統合の際は、次のようなチェックリストで最終確認を行うことをおすすめします。

統合した内容は、一度に全ページへ反映するのではなく、まずはトップページと問い合わせ導線から着手し、1〜2ヶ月ほど反応を見ながら他のページへ広げていく進め方が現実的と考えられます。問い合わせ件数・滞在時間・直帰率といった基本的な指標を改修前後で比較しておくと、どの要素が効いたのかを後から検証しやすくなります。

よくある失敗パターンとして、比較表を作らずに「なんとなく良さそうな要素」を寄せ集めてしまい、結果としてページごとにトーンがちぐはぐになるケースが挙げられます。統合作業は1人で完結させず、社内の複数名でレビューする、あるいは制作会社と一緒に確認する体制を作ることをおすすめします。

中小企業事例:千葉県のサービス業「Web問合せ3倍」

対象となったのは、地域密着で運営する従業員10名規模のサービス業のお客様です。実際に「いいとこどり」の手法でWebサイトを改修した事例をご紹介します。改修前は競合サイトを意識せず自社の情報を並べるだけの構成で、他社との違いが伝わりにくいことが課題でした。5社比較を経て、CTA文言・事例の見せ方・信頼性訴求を再設計しました。

項目改修前改修後(5ヶ月)
月Web問合せ8件24件
月粗利約180万円約340万円(+89%)

改修後5ヶ月で、月間のWeb経由問い合わせは8件から24件へと増加し、月粗利は約180万円から約340万円へと伸びる結果になりました。この数値は業種・地域・改修範囲によって変動するため、すべての企業様で同じ結果が保証されるものではありませんが、「いいとこどり」による差別化が問い合わせ増加の一因になったと考えられます。

今回の改修で具体的に行った変更は、主に次の5点です。

この事例で特に効果が大きかったのは、CTAの文言変更と、施工事例ページの充実です。競合比較で見つかった「相談のハードルを下げる文言」と「写真点数の多さ」という2つの要素を自社流に組み合わせたことが、問い合わせ増加の主な要因になったと分析しています。

競合サイトの「いいとこどり」は、特別なツールや大きな予算がなくても始められる手法と考えられます。まずは5社の比較表を作るところから、自社サイトの差別化に取り組んでみてはいかがでしょうか。


著者プロフィール

小宮山 泉(株式会社テラデザイン代表)。東京都八王子市を拠点に、中小企業・個人事業主向けのWeb制作とAI活用支援を9年にわたり行う。競合分析に基づくWeb戦略立案から、GBP(Googleビジネスプロフィール)運用、AI導入伴走まで一貫してご支援している。対応業種は多岐にわたり、Web制作だけでなくSNS運用やLINE公式アカウントを含めた包括的な集客支援を得意とする。