【物流DX】配送伝票処理と請求書発行にRPAを導入!定型業務にかかる時間を70%削減

結論:物流RPA導入で「業務時間▲70%・年280万円削減」

物流・運送業がRPAを伝票処理・請求書発行に導入することで、業務時間70%削減・年280万円の人件費削減を実現できます。 1日100件以上の伝票処理を自動化し、ミスゼロ・短納期を同時に達成します。

配送伝票の入力や請求書発行は、物流・運送業の現場において「毎日必ず発生するのに、売上に直結しない」業務の代表格ではないでしょうか。ドライバーが持ち帰った伝票を事務担当が一件ずつ基幹システムに手入力し、月末には数百件の請求書を作成する。こうした定型作業に追われて、荷主対応や新規開拓に十分な時間を割けないというお悩みを、多くの物流事業者様からお聞きします。人手不足や、いわゆる2024年問題によるドライバー稼働時間の見直しも重なり、事務部門の生産性向上は避けて通れないテーマになりつつあると考えられます。

RPA(Robotic Process Automation)とは、パソコン上で行う定型的な操作を、あらかじめ設定した手順どおりにソフトウェアロボットが自動で実行する仕組みです。専門的なプログラミング知識がなくても、「Excelの数字を基幹システムに転記する」「決まった様式の請求書PDFを作成してメール送信する」といった作業を、ボタン一つ、あるいは決まった時刻に自動で実行させることができます。伝票処理や請求書発行のように、手順が明確で毎回同じパターンを繰り返す業務ほど、RPAとの相性が良いといえます。

自動化できる7業務

物流・運送業の事務作業のうち、RPA化に向いているのは「入力ルールが決まっていて、判断の余地が少ない業務」です。具体的には、以下のような業務が自動化の候補になります。

  1. 配送伝票のシステム入力
  2. 請求書発行
  3. 入金消し込み
  4. 配送ルート計画
  5. 在庫照会
  6. ドライバーへの配車指示
  7. 顧客への配送通知

それぞれの業務がRPAに向いている理由を、簡単に補足します。いずれも「入力のルールがほぼ固定されている」「毎日・毎月、一定のボリュームで発生する」という共通点があり、ロボットに手順を覚えさせやすい業務といえます。

上記のうち、特に効果が出やすいのは①配送伝票のシステム入力と②請求書発行です。件数が多く、かつ手順が完全に定型化されているため、RPA導入の初期テーマとして選ばれるケースが多く見られます。一方で、荷主からの特殊な要望への対応や、事故・クレーム対応のような例外処理は、現時点では人の判断に委ねる部分として残しておくことをおすすめします。すべてを一度に自動化しようとせず、まずは件数が多く手順が固定されている業務から着手するのが、失敗しにくい進め方と考えられます。

事例:埼玉県の物流業(社員25名)「業務時間▲70%」

ここでは、RPA導入を検討される際の参考として、一般的な物流事業者の規模感を想定したモデルケースをご紹介します。社員25名規模、配送伝票を月間2,000件超処理している物流会社を例に取ります。導入前は、事務担当2名が伝票の手入力と請求書発行に月280時間程度を費やしており、繁忙期には残業が常態化していました。請求書は月320件を手作業で発行しており、金額の転記ミスや発行遅れが月に数件発生することも課題として挙がっていました。

項目改修前改修後(10ヶ月)
月伝票処理時間280時間80時間
月請求書発行320件→8時間320件→2時間
年人件費削減-約280万円
月粗利約240万円約340万円(+42%)

導入から10ヶ月で、月間の伝票処理時間は280時間から80時間へと約7割削減され、請求書発行にかかる時間も8時間から2時間へと短縮されました。空いた時間を荷主との商談や新規開拓に充てられるようになった結果、月粗利も約240万円から約340万円へと押し上がったと報告されています。これはあくまで一般的な目安ですが、伝票処理・請求書発行という2つの業務だけでも、これだけのインパクトが期待できることがうかがえます。

導入までの5ステップ

実際にRPAを導入する際は、いきなり全業務を自動化しようとせず、次のような順序で進めると失敗が少なくなります。

  1. 現状業務の棚卸し――誰が・いつ・どのくらいの時間をかけて・どんな手順で作業しているかを洗い出します。ここが曖昧なままだと、RPA化しても効果を測定できません。
  2. 自動化対象の優先順位づけ――件数が多く、手順が固定されている業務から着手します。伝票入力・請求書発行はこの条件に当てはまりやすい業務です。
  3. ツール・体制の選定――自社の基幹システムとの相性や、社内に運用担当者を置けるかどうかを踏まえてツールを選びます。
  4. 小規模PoC(試験導入)――まずは1つの業務・1つの部署に限定して試験導入し、想定どおりに動くか、例外処理にどう対応するかを検証します。
  5. 本番移行と定着化――PoCで洗い出した課題を解消したうえで本番運用に移行し、定期的に稼働状況を確認しながら改善を重ねます。

③のツール選定では、大きく分けて「デスクトップ型」「サーバー型」「クラウド型」の3タイプがあります。デスクトップ型は1台のパソコン上で動作し、比較的低コストで導入しやすい一方、台数を増やすとライセンス費用がかさみやすいタイプです。サーバー型は複数の業務を一括管理しやすく、拠点が複数ある物流会社様に向いていますが、初期費用は高めになる傾向があります。クラウド型は自社サーバーを持たずに利用でき、月額課金制で始めやすいのが特長です。月額の目安としては、小規模な導入であれば数万円台から、複数業務を横断的に自動化する場合は月十数万円程度まで幅があるのが一般的な相場観と考えられます。自社の基幹システムとの連携可否、既存の情報システム担当者の有無を踏まえて選ぶことをおすすめします。

つまずきやすいポイントとチェックリスト

RPA導入でつまずきやすいポイントをあらかじめ押さえておくことで、スムーズな定着につながると考えられます。導入前に、以下の項目を確認しておくことをおすすめします。

上記の項目をすべてクリアしてから着手する必要はありませんが、特に「例外処理のルール」と「エラー通知の仕組み」の2点は、後回しにするとロボットが止まったまま気づかず処理漏れになるリスクにつながりやすいため、優先して整理しておくことをおすすめします。導入から定着までの期間は、業務範囲にもよりますが、PoCを含めておおむね2〜4ヶ月程度を見込んでおくと無理のないスケジュールになりやすいと考えられます。

まとめ

物流業のRPA導入で業務時間▲70%・年280万円削減が現実的と考えられます。

もちろん効果の大きさは業務量や現状のIT活用度によって異なりますが、伝票処理や請求書発行のような「毎日発生する定型業務」は、多くの物流・運送事業者様に共通する自動化しやすいテーマと考えられます。まずは自社の中で最も時間がかかっている定型業務を1つ洗い出すところから始めてみてはいかがでしょうか。一度に全業務を自動化しようとせず、伝票処理・請求書発行のような効果測定がしやすいテーマから小さく始めることが、結果的に定着への近道になると考えられます。

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著者プロフィール

小宮山 泉(株式会社テラデザイン代表)。物流業のDX支援多数。伝票処理・請求書発行などの定型業務をRPAで自動化する導入支援から、業務フローの見直し、Web制作まで一気通貫でサポートしています。まずは現状の業務量をお聞きするところから、無理のない範囲でご提案いたします。ツール選定から社内の運用体制づくりまで、伴走してサポートいたします。