製造業の取引先提案書をAIで作成|新規開拓資料を構成から執筆まで一気に
【2026年6月時点】AIツールの使い分けメモ
本記事で紹介する手法は、ChatGPT以外のAIでも実践できます。現時点のおすすめの使い分けは、画像生成=ChatGPT(GPT Image)/提案書・アプリ開発・業務自動化・コーディング=Claude CodeやCodex/文章作成・分析=Gemini・Claude・ChatGPTです。最適なツールはタイミングによって変わるため、導入の際は最新情報をご確認いただくか、お気軽にご相談ください。
結論:AI提案書作成で「4時間→30分・新規取引3倍」
製造業の取引先提案書をChatGPTで4時間→30分に短縮、新規取引3倍・成約率1.6倍が現実的に達成できます。
多くの製造業の営業現場では、取引先ごとに提案書をゼロから作成しており、1件あたり3〜4時間程度かかっているケースが少なくありません。特に社員数が数十名規模の中小製造業では、営業担当者が1〜2名という体制も珍しくなく、提案書作成に時間を取られることで訪問件数やフォロー活動が後回しになりがちです。結果として、既存取引先の対応で手一杯になり、新規開拓の動きが鈍ってしまうという悪循環に陥りやすいと考えられます。
こんな課題感はありませんか
- 提案書のクオリティが担当者によってばらつく
- 過去の提案書を毎回コピーして手直ししている
- 取引先の課題分析が浅く、テンプレート的な提案になってしまう
- ヒアリング内容を提案書の文章に落とし込むのに時間がかかる
- 提案書作成が後回しになり、新規開拓のための時間が確保できない
次章で紹介するプロンプトは、ヒアリング内容と自社の強みを入力するだけで、提案書の骨子と各章の要点を数分程度で出力できるように設計しています。まずは自社の状況に合わせてプロンプトの項目をカスタマイズするところから始めてみてください。
ChatGPT提案書プロンプト
以下は取引先向け提案書の骨子をAIに作成してもらうためのプロンプト例です。【 】内の項目を実際のヒアリング内容や自社情報に置き換えて入力することで、提案書の構成案と各章の要点を数分程度で出力できます。まずはそのままコピーして使ってみて、自社の業種・商材に合わせて言い回しを調整していく進め方をおすすめします。
あなたは製造業のBtoB営業担当者です。
以下の条件で取引先向け提案書を作成してください。
【取引先情報】
- 業種:自動車部品メーカー
- 規模:従業員500名
- 現状の課題:[ヒアリング内容]
【自社情報】
- 強み:精密加工・短納期
- 実績:大手3社取引・月500件納入
【提案書構成】
1. 表紙+エグゼクティブサマリー
2. 取引先の課題分析
3. 自社の強み(実績・数値)
4. 提案ソリューション3つ
5. 価格・納期・体制
6. 次のアクション
プロンプトを使う際の3つのポイント
- 【取引先情報】は具体的に入力する 業種・規模だけでなく、現状の課題や過去の取引経緯まで入力すると、提案内容の精度が上がると考えられます。
- 【自社情報】の強みは数値で示す 「短納期」だけでなく「平均納期○日」「不良率○%以下」など、数値化した実績を入れることで説得力が増します。
- 出力後は必ず社内で事実確認する AIが生成した数値表現や実績は、必ず自社の実際の数値と照合したうえで提案書に反映してください。
ヒアリングで必ず聞いておきたい5つの質問
- 現在、どのようなことに一番課題を感じていらっしゃいますか
- 現在の取引先で満足している点、不満に感じている点はどこですか
- 発注の意思決定は誰が、どのような基準で行っていますか
- 価格・納期・品質のうち、特に重視されるのはどれですか
- 今後、取引数量や取引品目を広げるご予定はありますか
これらの質問への回答をヒアリングシートにまとめ、プロンプトの【取引先情報】欄に転記するだけで、提案書の骨子がその場で立ち上がります。ここからは、実際にこのフローを導入した中小製造業の事例をご紹介します。
中小製造業事例:神奈川県(社員18名)「新規取引3倍」
神奈川県内の金属部品加工会社(社員18名)では、営業担当者が2名という体制の中で、提案書作成の属人化と時間不足が課題となっていました。AIプロンプトを使った提案書作成フローを導入したところ、5ヶ月間で以下のような変化が見られました。
| 項目 | 改修前 | 改修後(5ヶ月) |
|---|---|---|
| 月提案書作成数 | 4件 | 18件 |
| 1提案書作成時間 | 4時間 | 30分 |
| 月新規取引数 | 1件 | 3件(3倍) |
| 月粗利 | 約340万円 | 約560万円(+65%) |
提案書作成にかかる時間が4時間から30分程度に短縮されたことで、営業担当者は同じ工数で提案書の作成件数を月4件から18件に増やすことができました。母数が増えたことにより新規取引数も月1件から3件に伸び、月粗利は約340万円から約560万円へと増加しています。なお、これらの数値はあくまで一般的な目安としての事例であり、業種・商材・営業体制によって効果には差が生じると考えられます。
導入までの5ステップ
- STEP1 現状の提案書作成フローを棚卸しする 誰が、どのくらいの時間をかけて、どのようなツールで作成しているかを洗い出します。
- STEP2 過去の提案書から「勝ちパターン」を抽出する 成約に至った提案書に共通する構成・言い回しを整理し、プロンプトの土台にします。
- STEP3 プロンプトをテンプレート化する 本記事のプロンプトを自社向けにカスタマイズし、共有フォルダなどでチーム全体が使える状態にします。
- STEP4 ヒアリングシートを整備する 5つの質問項目を軸に、営業担当者が現場で聞き取るべき内容を統一します。
- STEP5 出力結果をチェックする体制を作る AIが生成した数値・実績表現は必ず担当者が事実確認してから提案書に反映する運用にします。
提案書運用でよくある失敗と対策
| よくある失敗 | 対策 |
|---|---|
| AIの出力をそのまま提出してしまう | 必ず社内で数値・実績の事実確認を行ってから提出する |
| プロンプトの項目を空欄のまま使う | ヒアリング内容を具体的に埋めてから使う |
| 全取引先に同じ提案書を使い回す | 課題分析の章だけは取引先ごとに個別カスタマイズする |
| 担当者ごとにプロンプトがバラバラ | チームで1つのプロンプトテンプレートを共有・更新する |
提出前チェックリスト
AIが生成した提案書をそのまま取引先に提出するのではなく、以下の項目を確認してから提出する運用にすると、提案の質を安定させやすいと考えられます。
- 実績数値(取引先数・納入件数・不良率など)が自社の最新データと一致しているか
- 取引先の課題分析が、ヒアリングで実際に聞いた内容を反映しているか
- 価格・納期の記載が、社内の見積基準と齟齬がないか
- 文章のトーンが取引先の業界・企業文化に合っているか(フォーマル度合いなど)
- 次のアクション(面談日程・見積提出期限など)が具体的に書かれているか
こうしたチェックを毎回のルーティンに組み込むことで、AIによる時短効果を保ちながら、提案書の内容に対する社内の安心感も高めやすくなると考えられます。慣れないうちは、上司や先輩社員による2重チェックを入れておくと安全です。
提案書作成にAIを取り入れることは、単なる時短にとどまらず、営業担当者が本来注力すべきヒアリングや関係構築の時間を増やすことにつながると考えられます。まずは直近の取引先1社分から、本記事のプロンプトを試してみてはいかがでしょうか。
よくある質問
Q. ChatGPT以外のAIでも同じプロンプトは使えますか
本記事のプロンプトの構成自体は、GeminiやClaudeなど他のAIツールでもそのまま利用できます。出力される文章のトーンや粒度には多少の違いが出ますが、【取引先情報】【自社情報】【提案書構成】という3つの塊を入力する考え方は共通です。ツールごとの得意分野については、記事冒頭の使い分けメモもあわせてご参照ください。
Q. 社内に専任の営業企画担当がいなくても導入できますか
専任担当がいない体制でも導入しやすい方法と考えられます。実際に紹介した事例の会社も営業担当者2名という小規模体制でした。まずは営業担当者自身がプロンプトを試し、使いやすい形に調整していくところから始めるのが現実的です。慣れてきたら、社内で1つのテンプレートに集約していくと運用が安定しやすくなります。
Q. 提案書以外の営業資料にも応用できますか
同じ考え方は、会社紹介資料や見積書に添える説明文、展示会用の資料などにも応用できると考えられます。ポイントは「取引先の情報」「自社の強み」「伝えたい構成」の3つを整理してからAIに渡すことです。提案書で使い方に慣れておくと、他の資料にも展開しやすくなります。
著者プロフィール
小宮山 泉(株式会社テラデザイン代表)。製造業・建築業を中心に、AIを活用した営業資料作成や業務効率化の支援を行っています。中小企業の現場に寄り添った、実務ですぐに使えるAI活用方法をブログで発信しています。
