税理士事務所や社会保険労務士事務所では、申告書・就業規則・契約書など、定型的でありながら丁寧な確認が求められる書類作成業務が日々の業務の多くを占めています。この作業時間をAIで短縮できないか、というご相談を受けることが増えてきました。
1.士業の業務は「型はあるが、手間がかかる」仕事が多い
税務申告書や就業規則、雇用契約書など、士業の業務には一定のフォーマットや型が存在するものが多くあります。しかし、その型に沿って一件ずつ内容を作り込んでいく作業には、思いのほか多くの時間がかかっているのではないでしょうか。
2.AIが得意なのは「たたき台づくり」
AIが特に力を発揮するのは、ゼロから完成形を作ることではなく、「まずたたき台を作る」という工程です。過去の類似書類や条件を伝えることで、下書きレベルの文章を短時間で作成できます。この下書きをベースに、専門家が確認・修正していくことで、作成時間を大きく圧縮できる可能性があります。
3.書類作成のどこにAIを使えるか
具体的には、以下のような場面での活用が考えられます。
- 就業規則・雇用契約書のひな形作成
- 顧問先への案内文・お知らせ文の下書き
- 議事録・打ち合わせメモの整理
- 業務マニュアルの初稿作成
いずれも「完成品」ではなく「たたき台」として使う前提であれば、比較的取り入れやすい業務です。
4.顧問先とのやり取りメモの整理にも使える
書類作成そのものだけでなく、顧問先との打ち合わせ内容をメモから整理する作業にもAIは活用できます。話した内容を要点ごとに整理し、次回までの確認事項をリスト化しておくことで、対応漏れを防ぎやすくなると考えます。
5.最終確認は必ず人の目で行う
士業の業務は法令や制度に基づく正確性が求められるため、AIが作成した内容をそのまま使うことは避け、必ず専門家自身が最終確認を行うことが前提になります。AIはあくまで作業時間を短縮するための補助として位置づけることが重要だと考えます。
6.小さく始めて、事務所全体に広げる
いきなりすべての業務にAIを取り入れるのではなく、まずは一つの定型業務から試してみることをおすすめします。「案内文の下書きだけ」「議事録の整理だけ」というように範囲を絞ることで、事務所内でも受け入れられやすくなります。
7.導入で得られるのは時間だけではない
書類作成時間が短縮されれば、その分を顧問先との相談や提案といった、専門家にしかできない業務に充てられるようになります。「作業時間を減らす」ことは、結果として「専門性を活かす時間を増やす」ことにつながるのではないでしょうか。
まとめ
士業の書類作成業務は、AIを「たたき台づくり」として活用することで、時間を大きく圧縮できる可能性があります。最終確認は必ず専門家自身が行いながら、小さな業務から少しずつ取り入れていくことをおすすめします。
