結論:乗り換えは「資産の確保」から始める
Web制作会社を乗り換える際に最も重要なのは、「焦らず、まず自社の資産状況を把握すること」です。多くの経営者が「早く次の会社に依頼したい」と急ぐあまり、ドメインやデータの確認を後回しにしてしまいます。しかしこれが最大のリスクです。
ホームページには「目に見える資産」と「目に見えにくい資産」があります。デザインやコンテンツ(文章・写真)はわかりやすいですが、ドメイン名・サーバーの契約・CMS(更新システム)のデータは、制作会社が管理している場合があり、乗り換え時にトラブルになりやすい点です。
① ドメイン(〇〇.co.jpなどのURL):誰の名義で・どの会社で取得・管理されているか
② サーバー(ホスティング):どのサーバー会社と契約しているか・FTPアクセス情報はあるか
③ コンテンツデータ:WordPressなどのCMSデータ・記事・画像・お客様情報のバックアップはあるか
この3点が自社で管理できているなら、乗り換えは比較的スムーズに進みます。逆に制作会社が管理している場合は、移管交渉が必要になるため、段取りを踏んで慎重に進めることが大切です。
「乗り換えできない」と思い込んでいるケースも多い
「うちは制作会社に全部お任せしているから、乗り換えたくても無理かも」と感じている経営者も多いです。しかし実際には、ドメインの名義変更・サーバー移管・データエクスポートは法的にも技術的にも可能です。制作会社が「移管はできません」と言う場合でも、ドメインの登録者名義が自社であれば、権利は自社にあります。
本記事の手順に沿って確認を進めれば、ほとんどのケースで乗り換えの道筋が見えてきます。
乗り換えのベストタイミング
乗り換えを検討し始めたら、以下のタイミングを意識してください。
- 保守契約・年間管理費の更新前(1〜2ヶ月前):更新してしまうと余分な費用が発生する場合があります
- ドメイン・サーバーの契約更新前:更新のタイミングで自社管理への切り替えがしやすくなります
- 繁忙期を避けた閑散期:乗り換え作業中にサイトが一時的に不安定になるリスクを考慮し、問い合わせの少ない時期が理想的です
今の制作会社に不満を感じる典型的な5つのパターン
乗り換えを考えるきっかけはさまざまですが、テラデザインにご相談いただく経営者の方々からは、以下の5パターンが特に多く聞かれます。自社の状況と照らし合わせて、乗り換えの判断軸にしてみてください。
パターン1:更新・修正の対応が遅い・高い
「電話番号が変わったのに更新してもらえない」「ちょっとした文言修正に2週間かかった」「1行直すのに1万円請求された」——こうした不満は特に多く聞かれます。更新の度に費用が発生する従量課金型の制作会社では、更新費用の積み上がりが予算を圧迫することもあります。
本来、簡単な修正は自社でできる環境(WordPressなど)が整っているか、月額保守費用の中に含まれているべきです。修正の度に高額請求が発生する体制は、長期的に見て合理的とは言えません。
パターン2:担当者が変わってコミュニケーションが取れない
制作会社の担当者が退職・異動したことで「引き継ぎがされておらず、話が通じない」「最初の担当者だからわかっていたことが、新担当者にはわからない」という状況になるケースがあります。制作会社の内部体制の変化が、クライアント側のサービス品質に直結してしまう問題です。
パターン3:SEO・集客の成果が全く出ていない
「ホームページを作ってもらったけど、問い合わせが1件も来ない」「Googleで検索しても自社サイトが出てこない」——デザインは納品されても、集客への取り組みがなく放置されているサイトは非常に多いです。Web制作と集客支援(SEO・MEO・コンテンツ更新)はセットで考えるべきですが、制作のみで終わっている会社も存在します。
パターン4:月額費用の内訳が不透明
「毎月◯万円の管理費を払っているが、何をしてもらっているかわからない」「サーバー代・ドメイン代・保守費用が全部まとめて請求されていて内訳がわからない」というケースです。費用の透明性は信頼関係の基本です。内訳の説明を求めても明示されない場合は、見直しの検討が必要かもしれません。
パターン5:会社が縮小・廃業しそう/連絡が取れなくなった
制作会社が廃業した場合、サイトが突然消える・ドメインが失われるといった最悪の事態になりえます。「最近連絡が取りにくくなった」「メールの返信が数週間来ない」「会社のホームページが閉鎖されていた」といったサインがある場合は、早急に資産状況の確認と乗り換え準備を始めることを強くお勧めします。
乗り換え前に確認すべき「資産リスト」(ドメイン・サーバー・データ)
乗り換えの準備として、まず以下の資産リストを確認します。各項目について「自社が把握・管理できているか」をチェックしてください。
ドメインの確認
ドメイン(例:example.co.jp)は、ホームページのURLの根幹であり、SEOの積み上げの資産でもあります。同じドメインを使い続けることで、これまでの検索評価を引き継ぐことができます。
- 登録者(Registrant)の名義:Whois情報で確認できます。「whois example.co.jp」と検索するか、Whois検索サービスを利用します。自社名義であれば安心です
- ドメイン管理会社:お名前.com・ムームードメイン・Xserverなどのレジストラを確認します
- 有効期限:更新し忘れるとドメインが失効します。必ず把握しておきます
- ログイン情報:管理画面のID・パスワードが手元にあるかを確認します
制作会社名義でドメインが取得されている場合は、移管(トランスファー)の交渉が必要です。正当な手続きで移管を要求することは法的に認められた権利です。「認証コード(オースコード)」を制作会社に発行してもらうことで、他のレジストラへの移管が可能になります。拒否された場合はJPRS(日本レジストリサービス)などの公的機関に相談することも選択肢のひとつです。
サーバー(ホスティング)の確認
サーバーはホームページのデータが実際に置かれている場所です。以下を確認してください。
- サーバー会社とプラン名:エックスサーバー・ConoHa WING・さくらインターネットなど
- 契約者名義:自社名義か制作会社名義かを確認します
- FTPアクセス情報:サーバーへの接続情報(ホスト名・ID・パスワード)が手元にあるかを確認します
- 契約更新日:急にサーバー契約が切れるとサイトが消えます
コンテンツ・データの確認
WordPressなどのCMSを使っている場合、データベースにはこれまでの記事・設定・お客様情報が蓄積されています。
- WordPressの管理画面へのログイン情報:自社でログインできるか確認します
- バックアップデータ:最新のバックアップが取れているか確認します。「All-in-One WP Migration」などのプラグインで簡単にエクスポートできます
- 独自システムの場合:制作会社専用CMSの場合、データのエクスポート可否を制作会社に確認します
- 画像・素材データ:バナー・写真などの元データが手元にあるかを確認します
乗り換えの手順ステップ(6ステップで解説)
資産の確認が終わったら、以下の6ステップで乗り換えを進めます。各ステップの順序は守ることをお勧めします。順番を間違えると不要なトラブルが発生することがあります。
Step 1:次の制作会社を選定する
現在の制作会社への解約連絡より先に、次の制作会社の選定をします。次の依頼先が決まっていない状態で解約すると、サイト管理が空白期間になるリスクがあります。新しい制作会社には「乗り換え」であることを伝え、以下を確認してください。
- ドメイン・サーバーの移管サポートをしてくれるか
- 現状のサイトデータの移行(マイグレーション)に対応できるか
- 乗り換え期間中のサポート体制はどうなっているか
Step 2:現状サイトのバックアップを取得する
次の制作会社が決まったら、すぐに現状のサイトデータを完全バックアップします。WordPressであれば管理画面のエクスポート機能やプラグインを活用します。独自CMSの場合は制作会社にデータ一式の提供を依頼します。
バックアップはローカルPC・クラウドストレージ(Google Drive等)の両方に保存することを推奨します。
Step 3:ドメイン・サーバーの移管または切り替えを行う
ドメインが制作会社管理の場合は移管手続きを進めます。移管には通常5〜7営業日かかります。サーバーについては、新しい制作会社が推奨するサーバーに新規契約するか、既存サーバーの契約名義を自社に変更します。
ドメイン移管中もサイトは通常通り表示され続けます。ただし、ネームサーバーの変更(DNSの切り替え)を行うと、最大48〜72時間の間、世界中に変更が反映されるまで時間がかかります(DNS伝播)。この間はサイトへのアクセスが不安定になる可能性があるため、時間帯や告知を配慮することが大切です。
Step 4:新サイトの制作・データ移行を行う
新しい制作会社による制作・移行作業が始まります。この段階で確認しておくべきことは以下のとおりです。
- URLの変更有無:同じURLを維持するか、新URLに変更するかを決めます
- 301リダイレクトの設定:URLが変わる場合は旧URLから新URLへのリダイレクト設定が必須です(SEO評価の引き継ぎに重要)
- ページ内容の引き継ぎ:重要なコンテンツが漏れなく移行されているかを確認します
- Googleアナリティクス・Googleサーチコンソールの引き継ぎ:過去の計測データを引き継ぐために、管理権限を新制作会社に付与します
Step 5:現行制作会社へ解約・終了の連絡をする
新サイトの公開が完了してから、現行の制作会社に解約の連絡をします。この順序が重要です。先に解約連絡をしてしまうと、制作会社が意図的でなくてもデータへのアクセスが困難になるケースがあります。
解約連絡の際は、契約書に基づく解約通告期間(1ヶ月前・3ヶ月前など)を守ってください。書面またはメールで記録を残すことを推奨します。
Step 6:乗り換え後の動作確認と各種設定の更新
新サイト公開後は、以下の確認と設定更新を行います。
- 全ページの表示・リンク・フォームの動作確認
- Googleサーチコンソールへの新しいサイトマップの送信
- GBP(Googleビジネスプロフィール)のWebサイトURLの更新
- 名刺・チラシ・SNSプロフィールなどに記載のURLの更新(URLが変わった場合)
- SSL証明書(https)の有効確認
乗り換え時の注意点とトラブル事例
乗り換えを経験した経営者から実際に聞いたトラブル事例と、その予防策を紹介します。事前に知っておくことで、同じ轍を踏まずに済みます。
トラブル事例1:ドメインを人質に取られた
「乗り換えを申し出たら、ドメインの移管を拒否された」というトラブルは残念ながら実際に発生しています。制作会社名義でドメインが取得されている場合、理論上は制作会社が移管を拒否することができてしまいます。
予防策:契約前にドメインの管理名義を自社にすることを条件にする。既存の場合は今すぐWhoisで名義を確認し、制作会社名義であれば早急に移管交渉を始める。
トラブル事例2:バックアップなしでサーバーが消えた
制作会社が廃業し、サーバーの更新が止まったことでホームページが突然消えた、というケースがあります。長年運営してきたコンテンツや写真が全て失われることになります。
予防策:定期的(月1回以上)にサイトのバックアップを自社で取得する習慣をつける。制作会社の様子に変化があればすぐにバックアップを取る。
トラブル事例3:乗り換え後にSEO順位が急落した
サイトリニューアルに際してURLを大量に変更したにもかかわらず、リダイレクト設定をしなかったため、Googleのインデックスから評価が消えてしまった事例があります。上位表示していたキーワードから流入が激減し、問い合わせが数ヶ月間途絶えました。
予防策:URLを変更する場合は必ず全ての変更ページに対して301リダイレクトを設定する。サーチコンソールのデータをリニューアル前後で比較し、急変したページをすぐに確認できる体制を整える。
トラブル事例4:独自CMSのデータが引き継げなかった
制作会社専用の独自CMSで作られたサイトで、会社の都合でシステムのサポートが終了。データのエクスポート方法がなく、ブログ記事200本を手動で移行することになった事例があります。
予防策:新規のWeb制作では、WordPressなどのオープンソースCMSか、データエクスポートが保証されているシステムを選ぶ。独自CMSを採用する場合は「データのエクスポート権利」を契約書に明記してもらう。
乗り換え時に制作会社から請求される可能性のある費用
乗り換えに際して、現行の制作会社から以下のような費用を請求されることがあります。事前に契約書を確認してください。
- 解約違約金:契約期間内の途中解約に発生する場合があります
- データ提供費用:バックアップデータや素材一式の提供に費用を設定している会社があります
- ドメイン移管費用:移管作業の手数料として請求される場合があります
これらの費用の正当性は契約書の内容によります。契約書に記載のない費用の請求には応じる義務はありません。不当な請求と感じた場合は、消費者センターや法律の専門家への相談も検討してください。
まとめ:スムーズな乗り換えのためのチェックリスト
Web制作会社の乗り換えは、正しい手順を踏めば決して難しいことではありません。最も重要なのは「焦らず、資産を確認してから動く」という一点です。以下のチェックリストを使って、抜け漏れなく進めてください。
乗り換え前の確認チェックリスト
- □ ドメインの登録者名義を確認した(Whoisで自社名義かどうか)
- □ ドメイン管理会社とログイン情報を把握している
- □ ドメインの有効期限を確認した
- □ サーバー会社と契約者名義を確認した
- □ サーバーのFTPアクセス情報が手元にある
- □ WordPressなどのCMS管理画面にログインできる
- □ サイトのバックアップを取得した(ローカル+クラウド)
- □ 現行の保守契約・年間管理費の更新時期を確認した
- □ 契約書の解約条件(解約通告期間・違約金)を確認した
- □ 次の制作会社の候補を2〜3社に絞った
乗り換え中のチェックリスト
- □ 次の制作会社と乗り換え支援の対応を確認した
- □ ドメイン・サーバーの移管または自社管理への切り替えを進めた
- □ URLを変更する場合、301リダイレクトの設定を依頼した
- □ Googleアナリティクス・サーチコンソールの権限を新制作会社に付与した
- □ 新サイト公開前に全ページの動作確認をした
乗り換え後のチェックリスト
- □ 現行制作会社への解約連絡を書面で行った
- □ GoogleサーチコンソールにXMLサイトマップを送信した
- □ GBPのWebサイトURLを新URLに更新した
- □ 名刺・チラシ・SNSなどのURLを更新した(URL変更の場合)
- □ 乗り換え後1ヶ月間、サーチコンソールで順位変動を確認した
「自社の状況がどのケースに当てはまるかわからない」「ドメインの名義確認の仕方がわからない」といった場合は、下のLINE無料相談でお気軽にご相談ください。現状の確認から乗り換えの段取りまで、無料でアドバイスします。八王子・多摩地域を中心に、多くの乗り換えをサポートしてきた実績があります。
