AI活用を始めようとするとき、多くの解説記事で紹介されるのが「まずは議事録作成から」という切り口です。たしかに議事録はAIと相性のよい業務ですが、会社によっては、議事録よりも見積書からAI活用を始めた方が定着しやすいと感じることがあります。今回は、AI活用のスタート地点をどう選ぶとよいかについてお伝えします。
1.AI活用、何から始めるか迷っていませんか
「AIを導入したいが、何から手をつければよいか分からない」というご相談は非常に多くいただきます。インターネット上の解説記事やセミナーでは、議事録作成やメール下書きがAI活用の入り口として紹介されることがほとんどではないでしょうか。
もちろんこれらは有効な使い方ですが、すべての会社にとって最適な出発点とは限らないと考えます。会社ごとに時間のかかっている業務や、担当者の負担が大きい業務は異なるためです。
2.「まずは議事録から」が定番とされる理由
議事録作成がAI活用の入り口として紹介されやすいのは、録音データをAIに読み込ませるだけで一定の精度の文字起こしと要約ができ、比較的手軽に始められるためと考えられます。専門知識がなくても試しやすいという点も、定番とされる理由のひとつではないでしょうか。
たしかに手軽さという点では優れた入り口です。しかし、会社によっては「そもそも会議自体が少ない」「議事録は簡単なメモで十分」というケースもあり、効果を実感しにくいことも考えられます。
3.議事録作成でAI活用が定着しにくいことがある理由
議事録作成は、日々の業務の中で頻度が高いとは限りません。週に一度、あるいは月に数回程度の会社にとっては、AIを使う機会自体が少なく、せっかく使い方を覚えても忘れてしまう、ということが起こりやすいと考えます。
また、議事録の精度に対するこだわりが強い会社ほど、AIの要約に手直しが必要になり、「かえって手間が増えた」と感じてしまうケースも見られます。
4.見積書作成にAIが向いている理由
一方で、見積書の作成は頻度が高く、かつ一定のパターンがある業務です。商品構成や単価、過去の類似案件など、ある程度決まった情報をもとに作成することが多いため、AIに過去の見積書を読み込ませ、たたき台を作らせるという使い方と相性がよいと考えます。
毎日、あるいは毎週のように発生する業務であるほど、AIを使う機会も増え、社員が使い方に慣れていくスピードも早くなるのではないでしょうか。
5.見積書からAI活用を始めるとどう変わるか
見積書作成の時間が短縮されると、その効果を経営者様自身や営業担当者が実感しやすいという特徴があります。「これは使える」という体感が得られやすいことは、AI活用を社内に定着させるうえで大きな意味を持つと考えます。
成果が見えにくい取り組みは、どうしても後回しにされがちです。見積書のように、成果が数字や時間の短縮として分かりやすく表れる業務から始めることには、それだけの利点があるのではないでしょうか。
6.実際に見積書のどの工程をAIに任せられるか
見積書作成の中でも、AIに任せやすい工程はいくつかあります。
- 過去の類似案件を参考に、金額のたたき台を作成する
- 商品・サービスの説明文や項目名の表記を整える
- 見積書に添える案内文やメールの下書きを作成する
最終的な金額の確定や条件の判断は人が行い、下準備や整形の部分をAIに任せるという役割分担が現実的ではないかと考えます。
7.小さな成功体験を社内に広げていく
見積書作成でAI活用の効果を実感できたら、その成功体験をもとに、他の業務にも少しずつ広げていくことをおすすめします。「見積書で使えたのだから、この業務にも応用できるのではないか」という発想が、社内での自発的な活用につながりやすいと考えます。
議事録作成も、その頃には抵抗なく取り入れられる土台ができているのではないでしょうか。
まとめ
AI活用のスタート地点として議事録作成が紹介されることは多いものの、業務の頻度や実感のしやすさを考えると、見積書作成から始めた方が定着しやすい会社も少なくないと考えます。自社にとって時間がかかっている業務、頻度の高い業務は何かを見直すことから、AI活用の第一歩を検討してみてはいかがでしょうか。
