「DX推進のために専任担当者を採用したいが、なかなか良い人材に出会えない」。中小企業の経営者様から、こうしたお悩みをよく伺います。求人を出しても応募が集まらず、ようやく内定を出しても他社に流れてしまう。採用市場でDX人材の獲得競争が激しくなる中、「採用できてから進める」という前提そのものを見直す時期に来ているのではないかと考えます。専任担当者を採用できないままDX推進が止まってしまうのは、経営にとって大きな機会損失につながりかねません。

1.なぜ中小企業はDX担当者を採用できないのか

DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進できる人材は、大企業やIT企業からの需要も高く、採用市場では常に売り手市場の状態が続いています。中小企業が提示できる給与水準や福利厚生では、こうした人材に選ばれにくいという構造的な課題があると考えます。さらに、DX担当者に求められるスキルは「ITの知識」だけでなく、「業務理解」「社内調整力」「経営視点」など多岐にわたるため、そもそも採用条件を明確に定義すること自体が難しいという側面もあります。求人票に何を書けばよいかわからないまま、募集を出し続けている企業様も少なくないのではないでしょうか。加えて、人事担当者自身がDXやITの領域に詳しくない場合、候補者のスキルを正しく見極められず、選考の段階でミスマッチが起きてしまうことも珍しくありません。

2.「採用できないのは自社だけではない」という現実

DX担当者の採用に苦戦しているのは、決して一部の企業だけではありません。各種の調査でも、DX推進の課題として「人材不足」が上位に挙げられ続けています。「採用できないのは自社の努力不足ではなく、構造的な課題である」と捉え直すことが、次の一歩を踏み出すための出発点になるのではないでしょうか。自社だけが特別に不利な状況にあるわけではないと理解できれば、焦って条件を無理に引き上げるのではなく、別の解決策を冷静に検討する余裕も生まれます。給与水準を無理に引き上げて採用に踏み切っても、既存社員とのバランスが崩れてしまうといった新たな問題につながるおそれもあるため、慎重な判断が求められます。

3.採用の代わりに「伴走支援」という選択肢

専任担当者を採用できないのであれば、社外の専門家に「伴走」してもらうという方法があります。伴走支援とは、DXの企画から実行までを外部のパートナーが継続的に支援する形です。常駐の担当者を雇うのではなく、必要なタイミングで専門知識を借りるという発想であり、採用コストや教育コストをかけずに、DX推進を前に進められる可能性があります。月々の顧問料や支援料という形で費用を抑えながら、専門人材の知見を活用できる点も、中小企業にとって現実的な選択肢になり得ると考えます。また、採用と違って契約内容や支援範囲を柔軟に見直せることも多く、事業の状況に合わせて支援の濃淡を調整しやすいという利点もあります。

4.伴走支援で実際にできること

伴走支援の内容は会社によってさまざまですが、代表的なものとして以下が挙げられます。

業種や企業規模によって必要な支援の内容は異なりますが、どれも自社だけで完結させようとすると、専門知識の不足からつまずきやすい領域です。これらを一つの窓口にまとめて依頼できる点が、伴走支援の大きな利点だと考えます。複数の業者に個別発注する手間や、業者間の連携不足によるトラブルも避けやすくなります。窓口が一つであれば、進捗状況の把握や社内への報告もしやすく、経営者様の管理負担そのものを軽くする効果も期待できます。

5.社内に担当者がいなくても進められる理由

伴走支援の強みは、社内にDXの専門知識を持つ人材がいなくても、プロジェクトを前に進められる点にあります。経営者様や既存の社員が「何をすればよいかわからない」状態のままでも、外部のパートナーが方向性を示しながら伴走することで、少しずつ形にしていくことができます。専任担当者の採用を待つ間、DX推進そのものが止まってしまうという事態を避けられる点も見逃せません。時間を無駄にせず、今ある人員体制のまま取り組みを始められることは、中小企業にとって大きな安心材料になるのではないでしょうか。並行して社内の担当者候補を育てながら進めれば、将来的に内製化へ移行する道も残しておくことができます。

6.どんな会社に伴走支援が向いているか

特に、以下のような状況にある企業様には、伴走支援という選択肢が向いていると考えます。

これらに当てはまる企業様ほど、外部の伴走支援を活用するメリットが大きいのではないでしょうか。逆に、社内に十分なリソースと知見がある場合は、無理に外部支援を活用する必要はないとも考えます。自社の現状を一度整理し、どこまでを社内で担い、どこから外部に任せるかの線引きを考えてみることをおすすめします。

7.伴走支援を始めるときの最初の一歩

伴走支援を始める際、最初から大きな契約を結ぶ必要はありません。まずは自社の課題を整理し、どこから着手すべきかを一緒に考えてくれるパートナーを見つけることが重要だと考えます。小さな相談から始めて、信頼できると感じた段階で少しずつ支援の範囲を広げていく進め方が、無理のない導入につながるのではないでしょうか。まずは現状の課題を言葉にして相談してみることから始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

DX担当者の採用が難しいという課題は、多くの中小企業に共通するものです。採用にこだわり続けるのではなく、伴走支援という選択肢を視野に入れることで、DX推進を前に進められる可能性が広がります。専任担当者がいなくても、頼れるパートナーがいれば一歩を踏み出せるのではないでしょうか。採用活動と並行して伴走支援を検討することも、決して矛盾する選択ではありません。両方の可能性を残しながら、自社にとって無理のないペースでDXを前進させていくことが大切だと考えます。

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