「AI活用に興味はあるが、社内に詳しい人がいない」「経営者の自分がまず動かないと何も始まらない」。中小企業では、こうした状況からAI活用の検討が始まることが少なくありません。結論から申し上げると、専任のIT担当者がいなくても、経営者お一人で最初の一歩を踏み出すことは十分に可能だと考えます。今回は、最初の30日間を4つの期間に分けた、無理のない進め方をご紹介します。

特別な準備や予算をあらかじめ確保する必要はありません。無料の範囲で使えるツールと、日々の業務の中の15〜30分があれば、今日から始めることができます。

1.なぜ「経営者一人で始める」ことが現実的なのか

大企業であればDX推進部門が旗振り役になりますが、中小企業ではその役割を経営者ご自身が担うケースがほとんどではないでしょうか。人手が限られているからこそ、まず経営者が実際に使ってみて、良し悪しを肌感覚で理解することが、社内に広げる際の説得力にもつながると考えます。

社員に「使ってみて」と指示するだけでは、実際にどれくらい役立つのか、どこに注意が必要なのかを経営者様ご自身が語れず、後々の相談にも答えにくくなってしまいます。まずご自身が体験しておくことが、遠回りのようで実は一番の近道ではないかと考えます。

最初から社内全体を巻き込む必要はありません。むしろ経営者お一人の小さな検証から始める方が、余計な負担をかけずに進められます。社内に説明する前に、まずご自身の言葉で「良かった点」「難しかった点」を語れる状態を作っておくことが、後々の社内展開をスムーズにすると考えます。

2.30日間の全体像

今回ご紹介する進め方は、次の4つの期間に分かれています。

  1. 1〜7日目:目的を1つだけに絞る(準備)
  2. 8〜14日目:自分でAIに触れてみる(体験)
  3. 15〜21日目:一つの業務で実際に使ってみる(実践)
  4. 22〜28日目:かかった時間と効果を振り返る(検証)
  5. 29〜30日目:次の一歩を決める(判断)

いずれの期間も、1日あたり15〜30分程度の時間があれば取り組める内容です。忙しい経営者様でも、無理なく続けられる分量を想定しています。カレンダーに「AIの時間」として予定を入れておくと、日々の業務に流されにくくなると考えます。

3.1〜7日目:目的を1つだけに絞る

最初の1週間は、AIを使って何をしたいのかを1つだけに絞り込む期間です。「メール文面の下書きに時間がかかっている」「議事録の作成が負担になっている」「見積書の文面をいつも一から書いている」など、日々の業務の中で時間を取られている作業を1つ選びます。

複数の目的を同時に掲げると、どれも中途半端になりがちです。まずは1つに絞ることで、次のステップで何を試せばよいかが明確になります。

4.8〜14日目:まずは自分でAIに触れてみる

2週目は、選んだ目的に関連する作業を、経営者ご自身が実際にAIツールに入力して試してみる期間です。ChatGPTやClaude、Geminiなど、無料の範囲で使えるツールから始めて問題ありません。

最初はうまく思ったとおりの答えが返ってこないこともありますが、それも含めて「どんな指示の出し方だと結果が変わるか」という感覚をつかむ期間だとお考えください。この期間で完璧な成果を求める必要はありません。

たとえば「もう少し丁寧な言い回しにしてほしい」「箇条書きではなく文章にしてほしい」といった追加の指示を重ねていくと、AIの返す答えが少しずつ望む形に近づいていきます。この試行錯誤そのものが、後の実践で役立つ経験になります。

5.15〜21日目:一つの業務で実際に使ってみる

3週目からは、実際の業務の中でAIを使ってみる期間です。1週目で選んだ目的に沿って、実際のメール・議事録・見積書などを、AIの下書きをもとに作成してみます。

このとき、すべてをAI任せにするのではなく、下書きとして使い、最終的な確認・修正は必ずご自身で行うことをおすすめします。特に取引先に送る文面や、数字が関わる資料は、内容の正確性を必ず確認してください。慣れないうちは、AIが作った下書きの半分程度を書き直す前提で使うくらいがちょうどよいと考えます。

6.22〜28日目:かかった時間と効果を振り返る

4週目は、ここまでの3週間を振り返る期間です。次の3点を簡単にメモしておくことをおすすめします。

数字で厳密に測定する必要はありません。「前より楽になったか」という肌感覚を言葉にしておくだけでも、次の判断がしやすくなります。メモはスマートフォンのメモ帳程度で構いません。後で見返したときに、当時どこで迷ったかを思い出せる記録になります。

7.29〜30日目:次の一歩を決める

最終日の2日間で、この先どう進めるかを決めます。選択肢としては、主に次の3つが考えられます。

  1. 同じ業務でそのまま継続し、精度を上げていく
  2. 別の業務にも対象を広げる
  3. 社内の他のメンバーにも試してもらう

どれを選んでも問題ありません。大切なのは、30日間の体験をもとに、根拠のある判断ができる状態になっていることです。何も試さないまま検討を続けるより、確実に前進していると考えます。

もし判断に迷う場合は、社外の専門家に相談してみるのも一つの方法です。ご自身の30日間の体験を共有していただければ、次にどの業務へ広げていくとよいか、外部の視点から整理をお手伝いすることもできます。

まとめ

経営者お一人でAI活用を始める場合、いきなり大きな仕組みを作ろうとせず、目的を絞る、自分で触れる、一つの業務で試す、振り返る、という30日間の流れで進めることをおすすめします。専任の担当者がいないことは、決して始められない理由にはなりません。むしろ経営者ご自身が最初の使い手になることで、社内に説明する際の言葉にも実感がこもると考えます。まずはこの30日間を、実際にカレンダーに書き込んでみてはいかがでしょうか。

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専任のIT・AI担当者がいない中小企業様に向けて、テラデザインは「中小企業のミカタAI」としてAI導入の立ち上げから定着まで伴走支援しています。最初の30日間の進め方から、一緒に整理させていただくことも可能です。

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