結論:LP制作は「AIに作らせて人間が仕上げる」時代
LP(ランディングページ)の制作は、これまで「専門家に外注するもの」というのが中小企業の常識でした。コピーライターに15〜20万円、デザイナーに10〜20万円、コーダーに5〜10万円。1枚のLPに合計20〜50万円かかるのが珍しくない世界でした。
しかし2024年以降、生成AIの急速な進化によって、この常識は大きく変わりつつあります。結論からお伝えすると、「AIにたたき台を作らせ、人間がブランドと事実で仕上げる」という分業体制を取ることで、LP1枚あたりの制作時間を従来の24時間から1〜2時間まで削減できるようになっています。
これは「AIが何でも作れる」という話ではありません。AIが得意な部分(構成案・コピーのバリエーション・コード出力)と、人間が担うべき部分(事実確認・薬機法対応・ブランドトーンの調整)を正しく分けることで、はじめて実現できる効率化です。
① 外注LP制作に潜む3つのコスト構造とその実態
② AIで内製化できる工程・できない工程の見極め方
③ ChatGPT+Claude+Canvaを使った5ステップの実践手順
④ 整体院がLP内製化で問い合わせ前月比1.8倍にした成功事例
外注依存が生む3つのコスト構造
「LP外注は高い」とわかっていながら、なかなか内製化に踏み切れない理由はどこにあるのでしょうか。支援現場で見てきた外注依存のコスト構造を整理すると、次の3つに集約されます。
コスト①:制作費そのものの出費
最もわかりやすいのが制作費です。コピーライター・デザイナー・コーダーに個別に依頼すると、シンプルなLP1枚でも合計20万円前後になることは珍しくありません。季節ごとにキャンペーンLPを制作する企業では、年間120〜240万円を外注費として支払っているケースが実際に存在します。
コスト②:修正・コミュニケーションコスト
見落とされがちなのが、修正とコミュニケーションにかかる「時間コスト」です。「ニュアンスが違う」「もう少しターゲットを絞った訴求にしたい」——こうした社内の意図をデザイナーに伝えるやりとりだけで、1〜2週間が消えることも少なくありません。担当者の稼働時間に換算すると、修正のたびに数万円相当の人件費が発生していると考えられます。
コスト③:スピード感の損失
外注の最大の弱点は「すぐに動けない」点にあります。新商品のリリース、直近のイベント告知、競合への即応——こうした「今すぐLP1枚欲しい」という場面で、外注先の空き状況を待たなければならないことで、ビジネス機会を逃すケースが多くあります。内製化によって得られる最大の価値のひとつは、「思い立ったその日に動ける機動力」だと考えます。
外注依存 vs. AI内製化 コスト比較(月次換算)
| 項目 | 外注依存 | AI内製化 |
|---|---|---|
| LP制作費(月1本) | 80,000〜150,000円 | 0円(ツール費のみ) |
| 修正・コミュニケーション費 | 実質20,000〜50,000円相当 | ほぼゼロ |
| 納品までのリードタイム | 1〜3週間 | 1〜2時間 |
| AIツール月額合計 | — | 約7,700円 |
| 月次コスト削減効果 | — | 約92,300〜192,300円 |
生成AIで内製化できる工程と、できない工程
内製化を検討する際に多くの方が持つ疑問が、「どこまでAIに任せられるのか」という点です。誤った期待を持つと「全部AIに任せたら薬機法違反になった」という深刻な失敗につながります。正確に把握しておきましょう。
AIが得意な工程
- 構成案の作成:ターゲットとベネフィットを与えると、LP全体の構成(セクション順序・ヒーロー文・CTA設計)をたたき台として出力できます
- キャッチコピーのバリエーション生成:同じ訴求軸で10〜20パターンのコピー案を数秒で生成し、A/Bテストの素材として活用できます
- HTML/CSSコードの出力:Claudeなどのコーディング特化AIを使えば、デザインカンプをもとにしたHTML実装を自動化できます
- 既存原稿のリライト・トーン調整:過去のLPやパンフレットの文章をベースに、ターゲット変更・訴求軸変更を反映したリライトが高精度で行えます
- Canvaデザインの下地作成:テンプレートを活用し、カラー・フォント・レイアウトの基本を短時間で整えられます
人間が必ず担うべき工程
- 薬機法・景品表示法のチェック:整体院・化粧品・健康食品などの業種では、AI生成文章に「〜が治る」「〜効果あり」といった規制表現が紛れ込む可能性があります。法律の専門的チェックは人間が担う必要があります
- 実績数値・固有名詞の事実確認:AIは「もっともらしい数字」を作り出すことがあります。すべての実績・事例・数値は必ず一次情報と照合してください
- ブランドトーン・世界観の最終調整:AIはブランドの微妙なトーン差を完全には再現できません。最終的な言い回しや表現の調整は、ブランドを知る人間が行う必要があります
- CTA・フォームの動作確認:コードを出力させた後の動作テスト、特にフォーム送信・GA4トラッキングの動作確認は人間が行ってください
ある整体院様がAIで生成したLPをそのまま公開したところ、「腰痛が完治する」「ヘルニアが改善する」といった表現が含まれており、薬機法上問題のある訴求になっていたケースがあります。AIは「効果効能の断定表現」が法規制に抵触するという判断を自律的に行えないため、医療・健康・美容系のLPでは必ず専門家または経営者自身が最終確認を行うことが不可欠です。
5ステップで始めるLP内製化の実践手順
では、具体的にどのような手順でLP内製化を進めるのか。実際に支援現場で活用している5ステップを詳細に解説します。
ターゲット設定|「誰の、どんな悩みに応えるLP」かをAIと一緒に言語化する
LP制作で最初にやるべきことは、ターゲットの解像度を上げることです。「30代女性」「法人営業担当」といった粗いセグメントではなく、「子育て中で整体に行けない30代専業主婦で、産後から続く腰の張りに悩んでいる方」レベルまで絞り込みます。
ChatGPTへのプロンプト例:「LP制作のためのターゲット設定を手伝ってください。サービス名は[整体院名]。主なお客さまは[年齢・性別・状況]です。このターゲットが抱える悩みのトップ5と、LPで響くキーワード10個を出してください。」
所要時間:15〜20分 / 使用ツール:ChatGPT Plus
コピーAI生成|キャッチコピー10案+本文構成をChatGPTで出力する
ターゲットと悩みが固まったら、ChatGPTにキャッチコピーの生成を依頼します。「PREP法(結論→理由→具体例→まとめ)で構成して」「B4Aフレームワーク(Before→After→Bridge)で書いて」といった型を指定すると精度が大幅に上がります。
10案を生成したら、実際に読んでみて「自分が話すとしたらこう言う」というコピーを1〜3案に絞ります。この絞り込みは人間が行う工程です。AIが出したものをそのまま使うのではなく、「たたき台として7割使い、3割を自分の言葉で整える」というスタンスが長続きするコツです。
所要時間:20〜30分 / 使用ツール:ChatGPT Plus
構成確定|セクション順序・訴求軸・CTAをドキュメントにまとめる
キャッチコピーと本文の方向性が固まったら、LP全体の設計図(ワイヤーフレーム相当)をドキュメントにまとめます。セクション例:ヒーローコピー→悩みへの共感→サービス説明→ビフォーアフター→お客さまの声→料金・アクセス→CTA。
このドキュメントは、次のCanvaデザインとClaude Codeへのコード依頼の両方で参照する「設計書」になります。ここが曖昧だと、後工程で大量の手戻りが発生するため、15〜20分かけてしっかり詰めることをお勧めします。
所要時間:15〜20分 / 使用ツール:Google Docs、Notion等
Canvaデザイン|テンプレートを活用してビジュアルを30分で整える
構成書を手元に、Canva ProでLPのデザインを組みます。Canvaにはランディングページ・セールスページ向けのテンプレートが数百種類用意されており、ブランドカラーとフォントをセットしておけば、テンプレートに文章を流し込むだけでほぼ完成します。
注意点は「テンプレートをそのまま使わない」ことです。他社と同じテンプレートを使い続けると、ブランドの個性が失われます。カラー・フォント・セクション順序の3点だけは必ずカスタマイズするようにしてください。Canva AIのマジックライト機能を使えば、差し込み写真の背景削除やリサイズも自動化できます。
所要時間:30〜40分 / 使用ツール:Canva Pro(月1,500円)
コード出力|Claude Codeに構成書を渡してHTML/CSSを自動生成する
Web公開を前提としたLPの場合、デザインをHTMLコードに落とし込む工程が必要です。ここではClaude Codeが非常に強力な威力を発揮します。Canvaで作ったデザインの画像と構成書を渡し、「このデザインをもとに、レスポンシブ対応のHTML/CSSを生成してください」と指示するだけで、実装可能なコードが出力されます。
出力されたコードは必ず人間がブラウザで表示確認を行い、CTA(問い合わせボタン・LINE登録リンク・フォーム)の動作テストを実施してください。また、ページ公開前にはnoindexタグが入っていないか・OGP画像が設定されているか・ファビコンが設定されているかの3点を必ず確認します。
所要時間:20〜30分 / 使用ツール:Claude Pro(月3,000円)
5ステップ合計の所要時間:1時間40分〜2時間(外注時の約24時間に対し約93%削減)
月額ツールコスト:ChatGPT Plus 3,200円 + Claude Pro 3,000円 + Canva Pro 1,500円 = 合計7,700円/月(外注費10万円比で92%削減)
内製化を成功させる3つのチェックポイント
LP内製化を継続的に運用するために、支援現場で効果が高かった3つのチェックポイントをお伝えします。
チェックポイント①:AIの出力は「7割採用・3割人間」で仕上げる
「AIが生成した文章は100%使えない」という思い込みも、「AIの文章をそのまま使う」という油断も、どちらも禁物です。実際に内製化で成果を出している企業では、AIの出力を7割採用し、残り3割を自社の実績・スタッフの言葉・現場の空気感で補完するというスタンスを取っています。このバランスが崩れると、「コスパの悪い外注みたいな文章」になってしまいます。
チェックポイント②:A/Bテストをセットで設計する
内製化の最大のメリットは「すぐ修正できること」です。AIで生成したコピー案から複数パターンを作成し、Google OptimizeやVWOを使ってA/Bテストを回すことで、成果につながるLP表現を継続的にブラッシュアップできます。外注では修正のたびにコストが発生するため、このサイクルを回し続けることは事実上困難でした。内製化によって初めて実現できるPDCAです。
チェックポイント③:IT導入補助金でツール費用を補助申請する
ChatGPTやClaudeなどのAIツールは、IT導入補助金の対象になるケースがあります。2026年度の申請枠では、業務効率化を目的としたSaaS・AIツールの導入費が最大450万円まで補助される可能性があります(申請要件・採択状況は随時変動するため、最新情報は中小企業庁の公式サイトをご確認ください)。Terra Designでは補助金申請サポートも行っていますので、お気軽にご相談ください。
支援現場で見た成功事例|整体院の月10万円コスト削減
抽象的な解説よりも、実際の事例が最も参考になると考えます。Terra Designが支援した八王子市内の整体院での内製化実績をご紹介します。
事例:八王子市の整体院A院(スタッフ3名・院長1名経営)
LP・キャンペーンチラシ・LINEバナーを毎月外注しており、月平均8〜12万円の制作費が発生していました。院長のWebリテラシーは高くなく、「デザインのことはよくわからない」という状態からのスタートでした。
Terra Designのサポートのもと、ChatGPT Plus・Claude Pro・Canva Proを導入し、院長本人がStep 1〜3(ターゲット設定・コピー生成・構成確定)を担当、Canvaデザインと最終的なHTMLコード出力を研修でサポートしました。
結果として2ヶ月後には月10万円の外注費がゼロになり、同時にLP公開から問い合わせ数が前月比1.8倍に増加しました。内製化によって「自分の言葉でLPを書けるようになった」ことが、ターゲットの共感を生んだと分析しています。
| 項目 | 内製化前(外注) | 内製化後(AI活用) |
|---|---|---|
| LP月間制作費 | 80,000〜120,000円 | 7,700円(ツール費のみ) |
| 制作所要時間 | 約24時間(コミュニケーション含む) | 約1〜2時間 |
| 修正対応速度 | 2〜5営業日 | 即日対応可 |
| 問い合わせ数 | (基準月) | 前月比1.8倍 |
| 年間コスト削減額 | — | 約110万円 |
この事例で重要なのは、「AIが勝手に成果を出した」わけではないという点です。院長自身がターゲットの悩みを深く理解し、AIのコピー案に自分の言葉を加え、薬機法上の表現チェックを欠かさなかったことが成果につながっています。AIはあくまで「下準備と大量生産」を担うツールであり、「何を伝えるか」という判断は、現場を知る経営者・担当者にしかできません。
まとめ:AIは「24時間働くコピーライター&デザイナー」
生成AIを使ったLP内製化を、5ステップと実例を交えてお伝えしてきました。最後に要点を整理します。
- 制作時間は93%削減が現実的:以前24時間かかっていたLP制作が、1〜2時間に短縮できます
- 外注費月10万円をゼロに:ツール費月7,700円に置き換えることで、年間120万円前後のコスト削減が期待できます
- AIは「7割下準備・3割人間仕上げ」で最大化:全部AIに任せる失敗と、全部人間でやる非効率の間のバランスが成功の鍵です
- 薬機法など法的チェックは人間が担う:特に医療・健康・美容系は、AI出力を必ず専門家または経営者自身が確認してください
- IT導入補助金の活用を検討する:ツール費用の一部が補助対象になるケースがあります
AIは「文句も言わず、24時間稼働し、コピーライターとデザイナーの役割を同時にこなしてくれる外部スタッフ」と表現しても過言ではないと考えます。月7,700円で雇えるこの戦力を使わない理由は、もうないのではないでしょうか。
Terra Designでは、LP内製化フローの構築・AIツールの初期設定・スタッフ研修まで、AI導入伴走サービス「中小企業のミカタAI」として月額制でご支援しています。「うちの業種でも内製化できるの?」というご相談は、まずLINE無料相談からお気軽にどうぞ。
