【2026年6月時点】AIツールの使い分けメモ
本記事で紹介する手法は、ChatGPT以外のAIでも実践できます。現時点のおすすめの使い分けは、画像生成=ChatGPT(GPT Image)/提案書・アプリ開発・業務自動化・コーディング=Claude CodeやCodex/文章作成・分析=Gemini・Claude・ChatGPTです。最適なツールはタイミングによって変わるため、導入の際は最新情報をご確認いただくか、お気軽にご相談ください。
数字で見る現状|必要性は感じている。でも、動けていない





「DXやAIが必要なのは分かっている。ただ、何から手を付ければいいか分からない」——。ご支援先の経営者さまからよく伺う言葉です。この実感は、データでも裏付けられています。
中小企業基盤整備機構の調査によると、DXを必要と感じている中小企業は73.2%に達します。一方で、実際にDXに取組済み・検討中の企業は42.0%にとどまります(出典:中小企業基盤整備機構 2024年調査)。つまり、半数以上の中小企業は「必要だと分かっているのに、まだ本格的に動けていない」状態です。
感じている企業
検討中の企業
している企業
足りない
出典:中小企業基盤整備機構 2024年調査
背景には2つの数字があります。1つは理解の問題です。同調査では、DXを理解している企業は49.2%と、約半数がまだ「DXとは何か」を正しく捉えられていません(出典:中小企業基盤整備機構 2024年調査)。もう1つは人の問題です。課題として「IT人材の不足」を挙げた企業が25.4%、「DX推進人材の不足」が24.8%(出典:中小企業基盤整備機構 2024年調査)。社内に任せられる人がいない——これが多くの会社の実情です。
次の3つのうち、2つ以上に当てはまる場合は、「必要性は感じているが、まだ動けていない」層に含まれている可能性が高いと考えられます。
・ホームページやGoogleマップの情報を半年以上更新していない
・問い合わせや予約対応の多くを、紙・電話・口頭のやり取りに頼っている
・ChatGPTなどのAIを個人的に触ったことはあるが、業務には組み込めていない
実際にご相談を伺っていると、「DXが何を指すのか、そもそも曖昧なまま検討が止まっている」というケースが目立ちます。DXとは、単に便利なツールを導入することではなく、Webサイト・予約管理・顧客対応・請求書発行といった日々の業務の流れそのものを、デジタルを前提に組み直す取り組みを指します。この定義があいまいなままだと、「うちには関係ない」「うちの業種にはまだ早い」という判断につながりやすく、結果として着手が先送りになってしまうと考えられます。
大企業96.6% vs 中小企業44.7%|2倍以上の格差
企業規模で比べると、格差はさらにはっきりします。IPAの調査では、DXに取り組んでいる企業の割合は、従業員1,001人以上の企業で96.6%。一方、100人以下の企業では44.7%です(出典:IPA「DX動向2024」)。実に2倍以上の開きがあります。
| 従業員規模 | DXに取り組んでいる企業の割合 |
|---|---|
| 1,001人以上 | 96.6%(ほぼすべての企業が着手) |
| 100人以下 | 44.7%(半数以上が未着手) |
出典:IPA「DX動向2024」
生成AIについても、同じ構図が見られます。情報通信総合研究所の調査では、従業員規模が大きい企業ほど生成AIの導入・利用が進んでおり、全社的な導入率は1,000人以上の企業とそれ以外とで倍以上の差が出ています(出典:情報通信総合研究所 調査)。DXもAIも、大企業から先に進んでいるのが現状と言えます。
ただし、この数字は裏を返せば、中小企業ほど「これから伸びる余地が大きい」ということでもあります。同業の半数以上がまだ動けていないのであれば、先に動いた会社が地域や業界の中で差をつけやすい状況だと考えられます。
実務の感覚で言いますと、この差は「情報発信の更新頻度」「問い合わせへの反応速度」「見積書や日報の作成にかかる時間」といった、日々の細かな業務の差として表れることが多いと感じています。一つひとつは小さな差でも、半年・1年という単位で積み重なると、売上や採用力の差につながっていくと考えられます。
一般的な目安として、問い合わせへの返信が半日以内か翌日以降かで、成約率に数倍の差が出ると言われることがあります。同様に、Googleビジネスプロフィールの情報更新頻度が高い店舗ほど、検索結果での表示順位や来店数が安定しやすい傾向があるとも言われています。こうした小さな差の積み重ねが、企業規模の差以上に日々の業績を左右している可能性があると考えられます。
それでも、取り組んだ企業の81.6%は成果を感じている
「やっても効果が出ないのでは」と心配される経営者さまも多いのですが、データはむしろ逆を示しています。DXに取り組んだ企業のうち、成果が出ていると答えた企業は81.6%に上ります(出典:中小企業基盤整備機構 2024年調査)。取り組んだ企業の8割超が、何らかの手応えを感じているということです。
一方で、AI活用には「壁」があることも分かっています。生成AI活用の課題として「ノウハウ・知識の不足」を挙げた企業が54.0%、「回答の正確性の確認」が50.1%(出典:情報通信総合研究所 調査)。つまり、ツールを入れるだけでは使いこなせない企業が多いのが実態です。問題は「やるかどうか」よりも「どう始めて、どう定着させるか」にあると考えられます。
DX・AIが進まない本当の理由5つ
支援の現場で見てきた限り、中小企業のDX・AIが止まる理由は、おおむね次の5つに集約されます。
① 何から始めればいいか分からない
ツールも手法も選択肢が多すぎて、比較・検討の段階で止まってしまう。情報収集だけで数ヶ月が過ぎてしまうケースも少なくありません。
② 社内にIT・DX人材がいない
前述のとおり、IT人材不足25.4%・DX推進人材不足24.8%(出典:中小企業基盤整備機構 2024年調査)。「任せられる人がいないから進まない」は、多くの会社に共通する構造的な課題です。
③ 制作会社に頼んでも「作って終わり」
Webサイトやツールを納品してもらった後、改善まで見てくれる相手がいない。結果として、作ったものが更新されないまま止まってしまいます。
④ AIを試しただけで、業務に定着しない
ChatGPTを触ってみたものの、日々の業務フローに組み込めず、いつの間にか誰も使わなくなる。「ノウハウ不足54.0%」という調査結果と重なる現象です。
⑤ 大手のようなDX投資はできない
Web・広告・システム・AIを別々の会社に依頼すると、費用は積み上がります。大企業並みの予算が組めないことが、着手をためらう理由になっています。
5つの理由に共通しているのは、「技術そのものが分からない」というより、「進め方を決められずに止まっている」という点です。ツールの機能や最新のAIモデルを詳しく知らなくても、進め方さえ決まれば着手できるケースは少なくありません。次の章では、実際にどこから手を付けるべきか、現実的な順番を整理します。
中小企業がとるべき、現実的な最初の一歩
では、どこから始めればよいのでしょうか。私たちは、いきなり大きなシステム開発から始める必要はないと考えています。むしろ中小企業の場合は、売上に近いところから小さく始めるほうが、効果を実感しやすく、社内にも定着しやすい傾向があります。
1. 売上に近い導線から整える
Webサイト・Googleマップ・LINE・問い合わせフォームといった「お客様との接点」は、改善の効果が問い合わせや来店という形で見えやすい領域です。紙やExcelの業務を一気に置き換えるより、まず集客と顧客対応の導線から手を入れることをおすすめしています。
2. 人の判断とAIの作業を分ける
文章の下書き・FAQの整理・事例紹介・SNS投稿案など、AIが得意な「作業」は任せ、方針や品質の最終判断は人が行う。この役割分担を決めるだけで、「試しただけで終わる」状態をかなり防ぐことができます。
3. 外部の伴走者を「自社のDX推進室」として使う
社内に人材がいないなら、外部のプロを自社のマーケティング部・DX推進室のように使うという選択肢があります。採用と違って固定費を抑えられ、必要な範囲から始められます。大切なのは「作って終わり」ではなく、毎月数字を見ながら一緒に改善してくれる相手を選ぶことだと考えます。
4. 小さく始めて、数字で確認する
DXやAIの導入は、一度にすべてを変えようとすると失敗しやすい取り組みです。最初の3ヶ月は、次のような小さな範囲に絞って着手し、効果を数字で確認しながら次の一手を決めることをおすすめしています。
- 1ヶ月目|現状の棚卸し:Webサイト・Googleビジネスプロフィール・LINE公式・問い合わせ対応の現状を1枚にまとめ、更新が止まっている箇所や対応が遅れている箇所を洗い出します。
- 2ヶ月目|優先度の高い1〜2箇所に着手:問い合わせフォームの改善やGBPの情報更新など、効果が見えやすい箇所から手を入れます。あわせて、社内で使えそうなAI活用の場面を1つだけ選び、実際に試してみます。
- 3ヶ月目|数字で振り返る:問い合わせ数・反応速度・作業時間の変化を確認します。効果が見えた施策は継続し、次に着手する範囲を広げていきます。
この進め方であれば、大きな投資判断をする前に、自社にとって効果が出やすい領域を見極めやすくなると考えられます。「まず1つ試して、数字で確認してから広げる」という順番が、遠回りに見えて実は最短ルートになることが多いと感じています。
まとめ:格差は「伸びしろ」でもある
本記事のデータを整理すると、次のようになります。
- DXの必要性を感じている中小企業は73.2%。しかし取組済み・検討中は42.0%(出典:中小企業基盤整備機構 2024年調査)
- 大企業(1,001人以上)96.6%に対し、中小企業(100人以下)は44.7%。格差は2倍以上(出典:IPA「DX動向2024」)
- それでも、取り組んだ企業の81.6%は成果を実感している(出典:中小企業基盤整備機構 2024年調査)
格差が開いているということは、同業他社の多くがまだ動けていないということでもあります。まだ間に合います。ただ、何もしなければ差は開いていく——これがデータから読み取れる現状です。
Terra Designでは、中小企業の経営者さまに向けて、現状の診断から売上に近い導線の設計、AIの実務活用、月次の改善までを伴走でご支援しています。「うちの場合は何から始めるべきか」という段階のご相談こそ、お気軽にお寄せください。
